東北発のアロマブランドとして、天然の香りをフックに新しい価値を届けてきた株式会社グリーディー。ブランド誕生から5周年を迎えた今年5月、二日町のシェア型複合施設TNER内にコンセプトショップ「+Naturally(プラスナチュラリー)」をプレオープンしました。
ガラス張りのドアから店内に入ると、アロマと杉のいい香りに包まれます。小さなスペースですが、グリーディーが手がけるアロマの全ラインナップが並び、商品ディスプレイはナチュラルな雰囲気で、1つ1つ見ていくのに心踊ります。
「+Naturally」誕生までの想いを、グリーディー代表の浜出理加さんに伺いました。
—コンセプトショップの場所にTNERを選んでいただきうれしいです。
浜出:グリーディーのコンセプトをリアルに感じられる場がほしいとショップづくりが始まったのですが、お客様にわざわざ来てもらえるところにしたかったんです。なので、あえて路面ではないところを選びました。あとは、自分たちが事務所としても使える場所となると、このTNERのオフィスの造りはバッチリでした。
グリーディー代表の浜出理加さん
「+Naturally」は、「本来の」「当たり前の」という意味です。 当たり前の日常に、自然由来の香りでほんの少しの変化をもたらす。 暮らしに癒しやリフレッシュをプラス、という願いを込めています。県内外でグリーディーの商品を扱ってもらっているお店がいくつかあるのですが、全ラインナップが並ぶのはここだけです。ショップは予約制で、足を運んでくださったお客様に商品のストーリーをご説明したり、好きなイメージを伺いながら精油を選んで差し上げたりしています。
—県内産の杉をふんだんに使ったという什器も特徴的ですが、ショップはどのように作られたのでしょうか?
浜出:内装は、由利設計工房にオーダーメイドしました。ここは形的には使いづらい場所でもあるんですよ。既成品のテーブルを入れたら、どうにもほかのものが入らない。ショールームの壁の色も重めなので、どうしようかと考えていた時に、お向かいのオフィスで使っている由利さんが作った机を見せてもらって、「あ、これいいじゃん」となって。それで由利さんを紹介してもらい、話しているうちに盛り上がり、こういう形になりました。
ショップを作るにあたり、「Be my self!」と「Live with nature」というグリーディーのブランドコンセプトを大事にしながら、お客さまに伝えたいことを、「Lush life(豊かな生活)」「Sustainable(持続可能性)」「More fun(もっと楽しく)」「Beauty and helthy(美しさと健康さ)」といったキーワードに整理しました。かつ、私が好きなイメージを集めて由利さんに投げて、設計図などをもらってやりとりして内装を作っていきました。
什器は宮城県北部の栗駒産杉材の手組みですが、この什器だけで十分に、コンセプトが伝わりやすくなりました。いざ商品をディスプレイすると、店内にPP袋(ビニールの袋)があると浮いて見えてしまって。なので、お買い物袋は有料に、ラッピングの包装もシンプルに、などと削ぎ落とされていきました。アロマの量り売りも、慣れている方には容器の持参をいずれお願いしたいと考えています。
浜出:グリーディーではすべて天然の精油を使っているのですが、天然のものは”ずっと香らない”ことがいいと考えています。合成のものはずっと香るでしょう? CMでも「1日中香る」みたいなのが良しとされていますが、嗅覚は使い続けていると疲れてしまう。嗅覚は脳と直結しているから、極端な言い方をすれば、ずっと脳を使っているのと一緒なんですよね。
それと同時に、今の人たちは日常的にスマホやパソコンの画面を見続ける生活習慣なので自律神経が乱れている人が多いですよね。ある方に、「1日に1回でいいから、気持ちいいって思うことが大事だよ」と言われて、それはそうだなと思いました。実は、いい匂いを嗅ぐとか、お風呂に入るとか、気持ちいいと思った瞬間に穏やかにしてくれるほうの副交感神経が優位に働きます。なので、香りを取り入れることは、とても理にかなっていますよね。寝る前に、枕にシュッと天然のスプレーをしてあげると、いい匂いと思いながら寝られるとか、気持ちも神経のスイッチも切り替わります。
私は結構、人前でプレゼンをする機会があるのですが、本当はすごく苦手なんです。だから香りを持ち歩いて、プレゼンの前にシュッと吹きかけて、気持ちを切り替えるお守りにもしているんです。
持ち運べるカードタイプのアロマなど、ユニークな商品も
—香りの世界、奥深いですね。調合はどんなふうにされているのでしょうか?
浜出:いい香りだな、心地よいなと思う直感を大切にしています。いろいろ勉強もしましたが、私のブレンドの仕方は、どちらかというと香りのストーリーを考えて、軸になる精油を1つか2つ決めて、そこから足し算引き算をしながら調整していきます。
例えば、「収穫の夜」と名付けたアロマオイルは、葡萄を収穫する秋の夜のちょっとひんやりした空気を、「空」は、葡萄を収穫する秋の抜けるようにクリアな空を、というイメージから作っています。
AKIU Styleシリーズは、ワインをテイスティングするように香りを選べる
お客様にもここで、自分の感覚にぴったり合う香りを直感的に選んでもらいたいですね。自分で使うものですから。だからそうですね、香り選びは生き方の選択みたいなものですよね!
一「香りと女性の感性で世界をHAPPYに!」をコンセプトに、東北産の素材や地域での協働にこだわられていらっしゃるのも魅力的です。
浜出:最初から狙っていたわけではないのですが、ご縁がつながって形にしていった時に、そうなりました。今ご一緒している雄勝ローズファクトリーガーデンは、ただただ代表の徳水さんの言葉が美しすぎて、何かでお役に立ちたいというところから始まりました。「AKIU Style」でご一緒している秋保ワイナリーの毛利さんは、もともと知り合いで、ワイナリーの葡萄の蔓を使ったディフューザー作りの相談を受けたところがスタートです。
グリーディーは、ハーブを育てる、木を育てる、葡萄を育てるという生産者とも違う。私たちに何ができるんだろう、何が自分たちの価値なんだろうということを、1年ぐらい前からスタッフとディスカッションを重ねました。
そして、想いを持った地元のパートナーさんたちの資源をきちんと商品に乗せて価値変換し、知ってもらう、循環させていくというのが、私たちができること、やりたいことだよねと考え至りました。
一香りを届け続けてきた5年間を振り返ってみて、どんなことを思われますか?
浜出:5周年、あっという間でした。グリーディーは、最初は女性のためのライフデザインカンパニーをうたっていて、どちらかというと1mm Innovationという、もう1つ私が主宰している団体に近かったんです。でも、まずはしっかりビジネスとして成り立たせたいと、2年目から「香りの会社」と名乗り、覚悟もできました。最初はTHE6のフリーデスクから始まって、スタッフが増えるにつれてTHE6のオフィスを借りたりして、あまり無理はせずにコツコツきたかなという感じがしています。
一東京でのポップアップ・ストアの出店など、はたから見ると華やかな感じもありますが、葡萄蔓の剪定作業など、地道なことも同時にされていらっしゃるんですよね。
浜出:超地道ですよ。スタッフも多いわけではないのですが、1人1人が強みを活かして必死でやってくれています。
一今後挑戦してみたいこと、地域でのコラボレーションや自然を香りに活かしていく構想があったらおしえてください。
浜出:いろんなハードルはあると思うけど、蒸留所を作りたいんです。地元の素材をなるべく使って、いずれ原材料の事業化もしていきたいですね。蒸留をきっかけに、地域にたくさんある資材を活かしていく好循環を生み出せたら。雇用も生み出せるというか、楽しく働く仲間が増えたらいいなとも思います。
一蒸留所、ワクワクします! まず今年8月の、コンセプトショップのグランドオープンが楽しみです。
浜出:はい、ぜひこの空間に香りを楽しみに来てください。
グリーディーのこれまでと今、そして未来のビジョンを語ってくれた浜出さん。コンセプトショップ「+Naturally」がまた新しいきっかけとなり、香りと感性の取り組みがさらに有機的に広がっていくことが楽しみです。
「+Naturally」は、この夏、8月18日(木)にグランドオープンします。当日は蒸留の専門家を招いての、蒸留セミナーが開催されるとのこと。https://greedyweb.com/magazine/?p=675
「+Naturally」では、今後も、香りのセミナーや体験ワークショップなどを時々行うそう。ぜひグリーディーのウェブサイトやSNSをチェックしてみてください。
ガラス張りのドアから店内に入ると、アロマと杉のいい香りに包まれます。小さなスペースですが、グリーディーが手がけるアロマの全ラインナップが並び、商品ディスプレイはナチュラルな雰囲気で、1つ1つ見ていくのに心踊ります。
「+Naturally」誕生までの想いを、グリーディー代表の浜出理加さんに伺いました。
グリーディーのコンセプトを感じてもらえる場として
—コンセプトショップの場所にTNERを選んでいただきうれしいです。
浜出:グリーディーのコンセプトをリアルに感じられる場がほしいとショップづくりが始まったのですが、お客様にわざわざ来てもらえるところにしたかったんです。なので、あえて路面ではないところを選びました。あとは、自分たちが事務所としても使える場所となると、このTNERのオフィスの造りはバッチリでした。
グリーディー代表の浜出理加さん
「+Naturally」は、「本来の」「当たり前の」という意味です。 当たり前の日常に、自然由来の香りでほんの少しの変化をもたらす。 暮らしに癒しやリフレッシュをプラス、という願いを込めています。県内外でグリーディーの商品を扱ってもらっているお店がいくつかあるのですが、全ラインナップが並ぶのはここだけです。ショップは予約制で、足を運んでくださったお客様に商品のストーリーをご説明したり、好きなイメージを伺いながら精油を選んで差し上げたりしています。
—県内産の杉をふんだんに使ったという什器も特徴的ですが、ショップはどのように作られたのでしょうか?
浜出:内装は、由利設計工房にオーダーメイドしました。ここは形的には使いづらい場所でもあるんですよ。既成品のテーブルを入れたら、どうにもほかのものが入らない。ショールームの壁の色も重めなので、どうしようかと考えていた時に、お向かいのオフィスで使っている由利さんが作った机を見せてもらって、「あ、これいいじゃん」となって。それで由利さんを紹介してもらい、話しているうちに盛り上がり、こういう形になりました。
ショップを作るにあたり、「Be my self!」と「Live with nature」というグリーディーのブランドコンセプトを大事にしながら、お客さまに伝えたいことを、「Lush life(豊かな生活)」「Sustainable(持続可能性)」「More fun(もっと楽しく)」「Beauty and helthy(美しさと健康さ)」といったキーワードに整理しました。かつ、私が好きなイメージを集めて由利さんに投げて、設計図などをもらってやりとりして内装を作っていきました。
什器は宮城県北部の栗駒産杉材の手組みですが、この什器だけで十分に、コンセプトが伝わりやすくなりました。いざ商品をディスプレイすると、店内にPP袋(ビニールの袋)があると浮いて見えてしまって。なので、お買い物袋は有料に、ラッピングの包装もシンプルに、などと削ぎ落とされていきました。アロマの量り売りも、慣れている方には容器の持参をいずれお願いしたいと考えています。
直感をとぎすます、香りの時間
浜出:グリーディーではすべて天然の精油を使っているのですが、天然のものは”ずっと香らない”ことがいいと考えています。合成のものはずっと香るでしょう? CMでも「1日中香る」みたいなのが良しとされていますが、嗅覚は使い続けていると疲れてしまう。嗅覚は脳と直結しているから、極端な言い方をすれば、ずっと脳を使っているのと一緒なんですよね。
それと同時に、今の人たちは日常的にスマホやパソコンの画面を見続ける生活習慣なので自律神経が乱れている人が多いですよね。ある方に、「1日に1回でいいから、気持ちいいって思うことが大事だよ」と言われて、それはそうだなと思いました。実は、いい匂いを嗅ぐとか、お風呂に入るとか、気持ちいいと思った瞬間に穏やかにしてくれるほうの副交感神経が優位に働きます。なので、香りを取り入れることは、とても理にかなっていますよね。寝る前に、枕にシュッと天然のスプレーをしてあげると、いい匂いと思いながら寝られるとか、気持ちも神経のスイッチも切り替わります。
私は結構、人前でプレゼンをする機会があるのですが、本当はすごく苦手なんです。だから香りを持ち歩いて、プレゼンの前にシュッと吹きかけて、気持ちを切り替えるお守りにもしているんです。
持ち運べるカードタイプのアロマなど、ユニークな商品も
—香りの世界、奥深いですね。調合はどんなふうにされているのでしょうか?
浜出:いい香りだな、心地よいなと思う直感を大切にしています。いろいろ勉強もしましたが、私のブレンドの仕方は、どちらかというと香りのストーリーを考えて、軸になる精油を1つか2つ決めて、そこから足し算引き算をしながら調整していきます。
例えば、「収穫の夜」と名付けたアロマオイルは、葡萄を収穫する秋の夜のちょっとひんやりした空気を、「空」は、葡萄を収穫する秋の抜けるようにクリアな空を、というイメージから作っています。
AKIU Styleシリーズは、ワインをテイスティングするように香りを選べる
お客様にもここで、自分の感覚にぴったり合う香りを直感的に選んでもらいたいですね。自分で使うものですから。だからそうですね、香り選びは生き方の選択みたいなものですよね!
ご縁を1つ1つ形に—5年間の歩み
一「香りと女性の感性で世界をHAPPYに!」をコンセプトに、東北産の素材や地域での協働にこだわられていらっしゃるのも魅力的です。
浜出:最初から狙っていたわけではないのですが、ご縁がつながって形にしていった時に、そうなりました。今ご一緒している雄勝ローズファクトリーガーデンは、ただただ代表の徳水さんの言葉が美しすぎて、何かでお役に立ちたいというところから始まりました。「AKIU Style」でご一緒している秋保ワイナリーの毛利さんは、もともと知り合いで、ワイナリーの葡萄の蔓を使ったディフューザー作りの相談を受けたところがスタートです。
グリーディーは、ハーブを育てる、木を育てる、葡萄を育てるという生産者とも違う。私たちに何ができるんだろう、何が自分たちの価値なんだろうということを、1年ぐらい前からスタッフとディスカッションを重ねました。
そして、想いを持った地元のパートナーさんたちの資源をきちんと商品に乗せて価値変換し、知ってもらう、循環させていくというのが、私たちができること、やりたいことだよねと考え至りました。
一香りを届け続けてきた5年間を振り返ってみて、どんなことを思われますか?
浜出:5周年、あっという間でした。グリーディーは、最初は女性のためのライフデザインカンパニーをうたっていて、どちらかというと1mm Innovationという、もう1つ私が主宰している団体に近かったんです。でも、まずはしっかりビジネスとして成り立たせたいと、2年目から「香りの会社」と名乗り、覚悟もできました。最初はTHE6のフリーデスクから始まって、スタッフが増えるにつれてTHE6のオフィスを借りたりして、あまり無理はせずにコツコツきたかなという感じがしています。
一東京でのポップアップ・ストアの出店など、はたから見ると華やかな感じもありますが、葡萄蔓の剪定作業など、地道なことも同時にされていらっしゃるんですよね。
浜出:超地道ですよ。スタッフも多いわけではないのですが、1人1人が強みを活かして必死でやってくれています。
香りの蒸留所を作りたい
一今後挑戦してみたいこと、地域でのコラボレーションや自然を香りに活かしていく構想があったらおしえてください。
浜出:いろんなハードルはあると思うけど、蒸留所を作りたいんです。地元の素材をなるべく使って、いずれ原材料の事業化もしていきたいですね。蒸留をきっかけに、地域にたくさんある資材を活かしていく好循環を生み出せたら。雇用も生み出せるというか、楽しく働く仲間が増えたらいいなとも思います。
一蒸留所、ワクワクします! まず今年8月の、コンセプトショップのグランドオープンが楽しみです。
浜出:はい、ぜひこの空間に香りを楽しみに来てください。
グリーディーのこれまでと今、そして未来のビジョンを語ってくれた浜出さん。コンセプトショップ「+Naturally」がまた新しいきっかけとなり、香りと感性の取り組みがさらに有機的に広がっていくことが楽しみです。
「+Naturally」は、この夏、8月18日(木)にグランドオープンします。当日は蒸留の専門家を招いての、蒸留セミナーが開催されるとのこと。https://greedyweb.com/magazine/?p=675
「+Naturally」では、今後も、香りのセミナーや体験ワークショップなどを時々行うそう。ぜひグリーディーのウェブサイトやSNSをチェックしてみてください。
その他詳細
+Naturally / 株式会社グリーディー
〒980-0802 宮城県仙台市青葉区二日町17-22 TNER304号
営業時間
月〜金 11:00 – 18:00
土 不定休(8/6、8/20、9/3は11:00-17:00営業)
日 定休日
※2日前までの事前予約制です。
ご予約はこちら
記事を書いた人
大河原 芙由子
コーディネーター
大学で社会学と政治学を学び、卒業後はサステイナブルな社会づくりをめざし、自然エネルギー業界で働く。結婚を機に、舞台制作の道に。現在は、文化芸術と社会をつなぐ仕事もしながら、#アート #カルチャー #ソーシャル #サステイナブルな活動を掛け合わせていくことを実践中。庭を楽しむ暮らしが目標。