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考え、選ぶ。循環する暮らし。

#暮らしに変化を #街のこと

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暮らしを豊かにするきっかけが生まれる場「tsugi(ツギ)」


LOW WASTE LIFEをテーマに、ゆるやかに地域とのつながりを作っていく「tsugi」プロジェクト。最寄りの地下鉄南北線 五橋駅から徒歩約10分の場所にあるお店では「ゴミを減らし、暮らしを楽しむ豊かなまちへ」をコンセプトに、食材の量り売りや環境に負担の少ない日用品の販売、さらに週に1回のペースで行われるワークショップなどを通じて、暮らしを考えるきっかけを発信しています。



季節ごとに軽やかに表情を変える緑に彩られるtsugiは、店舗入り口前に広く設けられたウッドデッキに旬の自然栽培野菜などが並ぶ様子が印象的。初めて訪れる人もあたたかく迎えてくれる開放的な雰囲気が魅力です。
オープンから約1年。tsugiの発信する想いに共感する常連さんはもちろん、初めての人もふらりと立ち寄れるコンテンツが揃い、地域や人々とのつながりを育む場として活動のフィールドを広げています。

 

未来につなぐプロジェクト、始まりの一歩。


「tsugi(ツギ)という名前には、次世代に継ぎつないでいくという想いが込められています」と話すのは、tsugiプロジェクト代表・企画運営を行う渡辺沙百理さん。兼ねてから企画運営に携わっていた、必要なものを必要な分だけ購入しゴミを減らしていく「量り売りマルシェ」で得た気付きや価値観を、もっと多くの人と共有したいという想いから、tsugiプロジェクトをスタートしました。



元々は古いアパートであったというこの場所をただ建て替えるのではなく、思い出を残したまま新たな価値を乗せ再生したいというオーナーの想いを受け、エコラがリノベーション。オーナーの想いに共感した渡辺さんは、2020年6月にこのスペースの活用に関する紹介を受け、話し合いの末約3ヶ月後にはオープンするというスピードで、tsugiプロジェクトは走り出しました。



「無駄のない循環する暮らし」という想いは、お店作りにも活きています。使用している什器は、古民家などから不要になった材料を譲り受け、学生建築施工団体REDと協力し作り上げました。
「古いものの想いを引き継ぎつつアップサイクルしていけたら、と考えています。“ゴミを減らし、暮らしを楽しむ豊かなまち”を目指すために、私たちが日常の中でどんなことができるのか。試してみたいと思っても、きっかけがないとなかなか始めてみることができなかったり、難しいのでは?と感じる部分ってありますよね」と渡辺さん。自身も最初から環境問題やゴミを減らす暮らしというものに関心が高かったわけではなかったと言います。「気になったことを実践してみたらどんどん楽しくなって、もっと知りたいと思ったことがきっかけでした」と活動のきっかけを振り返り、tsugiはそういう人たちの背中をそっと押すような存在として、また得た経験や知恵を共有していく場に育てていけたら、と話します。

また、物販だけではtsugiのコンセプトを伝えきれないため、まずは人々にtsugiを知ってもらう・足を運んでもらうきっかけづくりとして、マルシェやワークショップなどを定期的に開催する取り組みを続けています。その活動には「せんだいリノベーションまちづくり」という公民連携でのまちづくりを行う団体に所属していた時の経験を活かし、人を集めて終わりではなく、ものごとの世界観やストーリーを伝え、一人ひとりが次のアクションを起こすきっかけの場となるような工夫をこらしています。

 

無駄なくフィットする暮らしを見つめる。


「活動を続けていくうちに、価値観に賛同して下さるお客さまや出店してくれる仲間の輪が広がっていきました」と渡辺さん。人同士のつながりも広がり、距離感が近づくことでさらに新しい発見や気付きが生まれていると話します。



「初めてのものって、使い方が分からずに手が遠のいてしまいがちですが、私もその流れを経験してきた一人。使い方はもちろん、どういうことにメリットを感じてトライしたのかなどをお伝えしています」と話すのは、みつろうラップなどの地球に負荷の少ない日用品やドライフルーツなどの量り売りを行う「スズノキ堂」。実経験を踏まえた話を直接聞くことができるのもtsugiのいいところ。商品のストーリーや使い方などを気軽に聞くことができます。



過度な包装を無くし、食品ロス削減への取り組みを行うパン屋「ecru(エクリュ)」も、tsugiのコンセプトに共感し出店しているお店の1つ。予約販売でロスを無くし、持参した袋やコットン製の繰り返し使える包装を使用するなど、サスティナブルなパン屋としての活動をアップデートしてきました。

「普段何気なく使っている物や食材の生産背景、作り手の想いや顔が見えると納得して商品を購入できますよね。自分で考え選ぶことの積み重ねが、無駄のない自分に合った暮らしにつながっていくと思います」と渡辺さん。先人たちが培ってきた暮らしの知恵や経験を次世代へつないでいくこともミッションとしながら、これらを日常的に無理なく取り入れていくことが、循環する暮らしにつながると話します。

 

実体験から得た気付きを活かし、新しい挑戦へ。


渡辺さんが今、特に実践したいと考えている企画が「コミュニティコンポスト」を作ること。tsugiの活動から得られた気付きや人々とのつながり、そして2020年6月から実践しているコンポストの実体験からこのアイディアが生まれました。

「家庭で出る生ゴミを堆肥化させるコンポストは、作業スペースや臭いの問題を気にされる方も多いかもしれません。しかし限られたスペースでもできるバッグ型で、臭いも出にくいコンポストを用いると、誰でも気軽にトライできると思います。実際に生ゴミが次第に細かくなっていく様子はとても面白いですよ」と渡辺さん。

現在は土の勉強をしながら、気軽に人々が集えるよう街中に畑を借り、各家庭ごとのコンポストでつくったたい肥を持ち寄って野菜や花を育てる方法を模索しています。そうすることで野菜や花を収穫するまでの流れや、循環する暮らしを楽しみながら体験できる場づくりを目指しています。



楽しみながら暮らしを考え、次のアクションへ。人々と地域がつながり、その輪が広がっていく循環をみんなで作り上げていきたいと、渡辺さんは考えています。
暮らしの価値観や日常の過ごし方が多様化する今こそ、自分の暮らしを見つめるきっかけとしてtsugiへ足を運んでみてはいかがでしょうか。

記事を書いた人

kumiki 小野 千怜

ライター、ディレクター

1990年生まれ。宮城県出身。大学で音楽を専攻し卒業後は地元出版制作会社で8年間、編集として年間120本以上の記事の作成する他、プランナーとしてプロモーション企画・イベントの提案を経験。2019年11月に独立し、プロモーション、ブランディング、取材、ライティング、編集、企画提案、撮影、デザインの分野で活動中。自然、動物、農業、おいしいものが大好き。

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