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【シェアする人びと】株式会社カラビナ|「うれしい」をデザインする。本質を捉えたデザインで、世の中をより楽しく豊かに

#新しい暮らし #新しい価値観で仕事をする人

PEOPLE

エコラが運営するシェアオフィス・コワーキングスペースの入居者さん・利用者さんを紹介する「シェアする人びと」。多様な働き方やライフスタイルを、コーディネーターが聞いてみました。
今回は仙台市大町にある複合施設『Blank』のSOHO&Apartmentに入居している、峯岸和男さん・梅影まあやさん(株式会社カラビナ)です。

カラビナは現在、代表の峯岸さん、社員の梅影さんによる2人体制。『うれしいをデザインする。』というパーパス(存在意義)を掲げ、中小企業や製品・サービスを対象としたブランディングデザイン領域を中心に事業を展開しています。

 

企業のブランドづくりから、製品・サービスのデザインまで


株式会社カラビナ左:梅影まあやさん/右:峯岸和男さん

ー株式会社カラビナは2012年に設立されましたね。立ち上げまでの経緯をお伺いしてもよろしいでしょうか。

峯岸:デザインプロダクションに対する自分なりの在り方を探求したいと考え、個人事業主時代を経て法人化したのがカラビナです。

デザインの仕事は時間とクオリティの管理が難しい業界です。
そこで、クライアントやその先にいる人びとの「うれしい」を作り、育んでいくために、まずは自分たちが「うれしい」で満たされる環境を整える必要があると考えています。個々の性格やライフスタイルも意識しながら、仕事とプライベートのバランスを整え、常に高いモチベーションでデザインに向き合える環境を整備していく。
そうすることで、より高いパフォーマンスを発揮するような理想の社風を目指し今に至ります。

ー現在、どのようなクライアント様にご利用いただいていますか?

峯岸:クライアントの業種や分野は様々ですね。
デザインの領域は細分化されており、それぞれに専門家がいる分野です。ですが僕はそういった縛りを意識せず、『どうしたら良くなるか』を考えてデザインに向かっているため、ご相談いただく悩みの内容や範囲も多岐に渡ります。

多様な業種のクライアント様との関わりの中で、他のクライアント様に有効なアイデアが膨らんだ時は、こちらから企画を持ちかけることもあります。
そのアプローチが喜ばれて、新しいクライアント様に恵まれることもありますね。

クライアントと二人三脚で創造するデザイン


株式会社カラビナ

ークライアント様が抱えるお悩みとはどんなものでしょう?

峯岸:近ごろは根本からの経営思想の構築、または再構築を検討している企業が増えてきていると感じます。
そこでカラビナではまず、クライアントの想い・強み・弱み・課題・目標の5つを徹底的にヒアリングし、それぞれと向き合いながら理解することから始めていますね。何度も打ち合わせを重ね、企業ブランドの軸となる『普遍的な魅力と価値』について見つめ直し、必要に応じたデザイン領域を絡めつつセットアップしていくんです。

ーそんなカラビナさんの強みとはなんでしょうか?

峯岸:『クライアントと二人三脚でデザインしていくこと』ですね。

プロジェクトの規模・内容・熱量に応じて各専門家と少数精鋭のメンバーを結成し、課題解決に向き合います。関わる全員が本質を深く理解し、ご依頼いただく側も私たちも課題を『自分ごと化』しつつ真摯に取り組む。そうすることでスピード感を持ちながらも質の高い、納得感のあるデザインを提供できるよう心がけています。

ー『自分ごと化』の思考を社内に根付かせるのは、とても難しいように感じます。

峯岸:そうなんです。なので『自分ごと化』の徹底のためにも、お互いの思考プロセスはもちろん、必要経費の透明化のように可能な限り情報をオープンにするなど、工夫しながらプロジェクトに取り組んでいます。
あわせてスタッフには、自分の提案するデザインとクライアントとの間にある満足度や費用対効果を含め、あらゆる角度でビジネスを意識したデザインセンスを磨いてほしいという狙いもありますね。

ー社内にそこまで情報を開示する企業も中々珍しいですよね。梅影さんは実際にどう感じられていますか?

梅影:とてもありがたいです!具体的な数字を知ることができるので、来月はもっと頑張ろう!というモチベーションに繋がりますね。

デザインが活きる領域は無限に


株式会社カラビナ峯岸和男さん

ーカラビナさんが手がけたプロジェクトの内、最も印象に残っているものについて教えてください。

峯岸:どこのクライアント様も思い入れがあって、とても良い仕事をさせてもらっています。特筆するプロジェクトを選ぶのは難しいですが、納品後のブランドロゴやキービジュアルを活用して、自社でグッズを制作したんです!という報告をいただいたことがあって。一緒にお仕事できたことを幸せだと感じた瞬間でしたね。
僕らがデザインしたものを愛し、活用してくれるクライアント様が周りにいてくれる。そのおかげでこれまでやってこられたと感じています。

ーグッズの自社制作!すごいですね!現在(※)も新規のクライアント様は受付中でしょうか?

峯岸:もちろんです!デザインの分野が活かせる領域は無限にあると思っています。
なので今までデザインを解りにくいからと敬遠していた事業者様とは、ゆっくりお話を伺いながらご提案していきたいですね。
コーチングをはじめとする月額固定のアドバイザリー契約も受け付けていますので、お気軽にご相談いただければと思います。
※取材時(2022年9月下旬)の情報。

 

storio associatesの発足


storio associates

ーカラビナさんの特徴の1つとして、『storio associates(ストリオ・アソシエイツ)』がありますね。storio associatesについて教えていただけますか?

峯岸:storio associates(以下ストリオ)はあらゆる業界に所属する経験豊富なプロフェッショナルが集う、クリエイターのためのデザインコミュニティです。

紡がれている物語(story)とモノ・コト・ヒトの三重奏(trio)が融合し、人々の『拠りどころ』となる本質的な価値をセッションしながら奏で(Session=Design)ていこう、という想いがこめられています。

ー立ち上げのきっかけは何でしょうか?

峯岸:ライフワークとしてデザインに向き合いたいと常に考えています。
そこで、仲間がそれぞれにクライアント様と共創して培ってきたスキルをブレンドすることで、世の中をより楽しく、豊かにしていくような集団を作り上げたかったのがきっかけですね。

ストリオが手がける『ブレンディングデザイン』は、ウイスキーのブレンデッドから着想を得ています。こだわりのウイスキーはブレンダーの卓越した感性と技術によって、多様なモルト原酒の長所を引き出すヴァッティングから生み出されるんです。

まるでウイスキーのブレンデッドのように、世代を超え各々の価値観や世界観を共有しながら、新しい切り口のデザインを創造していくことがストリオのテーマですね。

ーテーマを聞いただけでワクワクしてきますね・・・!そんなストリオが手がけた事例について教えていただけますか?

峯岸:秋田県男鹿市北浦にある、『あじさい寺』としても有名な雲昌寺を舞台にしたプロジェクトです。
このプロジェクトでは3人の若手デザイナーが共創し、それぞれのセンスと個性が光る作品が生まれました。そのひとつとして、梅影がデザインした『omamori』が誕生したんです。

storio associatesが生み出した『omamori』storio associatesが生み出した『omamori』

ーとても素敵なデザインですね!

梅影:ありがとうございます、嬉しいです!実は当初納めた1,000体は即完売でした。
ひとつずつ手作業で花びらを選び包んだ、とても想い出深い作品に仕上がりましたね。

『omamori』は本体の薄さが特徴的で、これは「スマホのケースに入れられるように」という私たち世代ならではの行動から着想したものなんです。

峯岸:デザイナーとしてベテランになればなるほど、小さなきっかけや優れたアイデアを「当たり前」として流してしまいがちです。若手ならではのアイデアの本質を見逃さず、世代ならではの文化がブレンドされたことで、風味豊かなデザインになりました。
まさにストリオならではの作品が誕生した瞬間でしたね。

 

SOHO利用という選択


株式会社カラビナのオフィス

ーカラビナさんは現在、BlankにSOHOとして入居されています。SOHO利用に至った経緯をお聞かせください。

峯岸:数年前に仙台市泉区で運営していたコミュニケーションスペース『arne(アルネ)』で、人と人との関わりや、そこから生み出される力の大きさと面白さを学んだんです。
その経験をきっかけに、仙台で共創の場を実現するべく2021年4月にBlankへ入居しました。

ーお部屋を内覧した際はどのように感じましたか?

峯岸:フルリノベーションされた、シンプルかつ素敵な内装に心を打たれました。
ベランダに出ると青葉通沿いのけやき並木が広がっているこのロケーションは、仙台らしさがあってとても気に入っています。
実は5階と6階の部屋で悩んだのですが、5階のほうがけやき並木が綺麗に見えると感じたので、今の部屋に決めたんです(笑)。

ー確かに窓からの青々とした景色がとても美しいです。実際にSOHOとして利用してみて、いかがでしょうか?

峯岸:県外からパートナーが利用することもあるので、住居としての一面をもつSOHO利用はうってつけですね。普通のオフィスとは違いバスルームや洗面台もあるので、Blankならではのスタイルで過ごせています。

ーオフィス内の雰囲気も一般的な企業の張り詰めた空気感とは一味違い、どこか落ち着いて過ごせるような佇まいです。

峯岸:ありがとうございます。まさに最近見学に来てくれた就活生もすごく楽しかったみたいで、「また来たいです!」って言ってくれたのがとても嬉しかったです。

我々の業界は首都圏や大手を除けば、職種的に実際の仕事場の雰囲気や環境に触れる機会はまだまだ少ないです。見えにくい不安な部分をできるだけクリアにしながら、新しい仲間をどんどん増やしていけたらと考えています。

特にデザイン業界を目指す就活生にとっては、コロナ禍の就活を乗り越えデザイン職に就いた、梅影の等身大の一言一言がすごく参考になると思います。

 

社内に吹く新しい風


株式会社カラビナ梅影まあやさん

ーそんな梅影さんは今年の4月にカラビナさんへ入社されましたね。

梅影:小さい頃から図工の授業や絵を描くことが好きで、その時から何かを作る人になりたいと考えていました。大学はデザインの学部に入学したので、デザイナーとしての道を目指し始めたんです。
就活で色んな会社を探している中、カラビナのホームページに出会いました。

ー入社の決め手は何でしたか?

梅影:実際にオフィスに見学に行って、職場の雰囲気や、小規模なので一対一で丁寧に教えてくれることに魅力を感じたのが決め手です。

峯岸:初めて職場見学に来てくれた時のことは今でも覚えています。そんなに宣伝もしていなかったのに、よく見つけてくれたなって(笑)。

ちょうどその頃、新しい世代の子たちにデザインするフィールドを作り、僕自身はディレクター業務へのシフトを意識していました。自分が今までやってきたことを、次の世代につないでいきたいなと考えていた時期だったんです。
梅影に実力があったことはもちろんですが、インターンやアルバイトの時期を通して、色々な考えや想いを共有しながら入社してもらいました。

株式会社カラビナ梅影まあやさん

ー梅影さんは初めてのお仕事が雲昌寺のプロジェクトと伺いました。参加してみていかがでしたか?

梅影:学生時代に制作の授業はありましたが、お客様に見てもらう、商品を買ってもらうといった経験はありませんでした。
なのでデザインした商品をお客様が手に取る瞬間を見た時、とても嬉しかったですね。

峯岸:自分が作ったものを誰かが選んで買っていくみたいなことが、若い人たちに経験してほしいデザインの楽しさなんです。ストリオもカラビナも含め、そういう機会の提供が実現できていると思います。

 

転換期となる10年目


株式会社カラビナの名刺

ー今年でカラビナさんは10周年を迎えますね。

峯岸:はい。関わっていただいた皆さんのおかげで続けてこられました。
10周年を節目に、今までの総括やこれからに向けて色々やっている最中です。
今後は既存の枠を超えるような、新たに開発された根拠や考え方に基づいた製品・サービスについて、デザインができることを深堀りしていきたいと思っています。さらにそれらが存在する空間や場作りにも発展的に興味がありますね。

また10年目に向けて、デザインに関わる人たちの成長と共有をテーマにした、学び合いの機会を作りたいと考えていました。
そこで企画したのが『carabina session』で、前回はカラビナの元社員で現在フリーランスとして活躍しているデザイナーたちに声をかけ、近況やデザインに対する取り組みなどについて話してもらったんです。

carabina session vol.1の様子

carabina session vol.1の様子carabina session vol.1の様子

どういう形でBlankと向き合っていくか?についても、今後のテーマにしています。carabina sessionをはじめ、どこかBlankらしさを強みにするような企画を提案しながら、カラビナを舞台にした人つなぎの場所を提供していきたいですね。

ー梅影さんの入社も大きな変化ですよね。継続的に求人を出していらっしゃいますが、どのような方に入社していただきたいですか?

峯岸:素直で謙虚で、明るくて優しくて・・・つまり自分の芯をしっかりと持ちながらも、人の想いに寄り添い、向き合える方です。技術は後からついてくるものなので、まずは姿勢と人柄が大事ですね。
多様な考え方や価値観を受け入れながら、「それも面白いのかな」って選択肢として取り入れつつ、柔軟に物事を考えられる人がいいなと思っています。

梅影:カラビナはデザイナーとして自分のこだわりも大切にしながら、お客さん目線で商品や制作物を考えています。
なので『自分がこう作りたいからこのデザインにするんだ』ではなく、『お客さんがこうしたいから』っていう意見を取り入れられる人がいいですね。

ー自分がやりたいデザインと、お客様が求めているデザインを総合的に考える必要があるということですね。

峯岸:もちろん自分の考えや想いを込めることで高まる、クリエイターとしてのモチベーションはとても大事です。デザイナーとアーティストの違いとも言えるかもしれません。カラビナとお客様の双方がうれしいと思えているか、自分ごととして同じ温度感でものごとを見つめ共有できているか、について意識することをカラビナでは大切にしているということです。

株式会社カラビナのオフィス

ー最後に、今後の展望や目標を教えてください。

梅影:私自身、入社して半年でまだ経験も浅いので、今後は1つの分野のデザインに注力するのではなく、広い視点を持ちながら様々な分野のデザインに携わりたいですね。また、昔から興味のあるパッケージデザインのお仕事にも、より多く挑戦できたらと考えています。

峯岸:デザインがもっと生活の中に溶け込んでいけばいいなと思います。
ライフデザインとか自分ならではの暮らし方とか、誰しもが人生の軸の中にデザインの領域があるんです。その領域をもっと拡げていけたらいいなと考えています。





社名であるカラビナは、ロッククライミングなどで体とロープをつなぐ用途として使用される道具『カラビナ(独 Karabinerhaken)』から。
特に優れた強度をもつ形状がD型と知った時、Design(D)を通してお客様にとって頼りになる存在でありたい、というビジョンが重なったことが社名の決め手となりました。

私たちの生活とデザイン。
その間に立つ存在として、株式会社カラビナの次の10年に向けた挑戦が始まります。

株式会社カラビナのオフィス

その他詳細

株式会社カラビナ/carabina inc.

〒980-0804 宮城県仙台市青葉区大町2丁目3−12 Blank 503
TEL 022-341-3007
MAIL info@carabina.co.jp

記事を書いた人

鳴海 匠

コーディネーター

学生時代、地元のコワーキングスペースにて勤務。
大学卒業後は仙台市内の企業にてwebライティング業務に従事するが、コミュニティデザインに関する興味が再燃し、エコラへ入社。
現在はBlankの運営業務を担当。

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