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<川村寛克>タフティングワークショップで文化の継承を

#新しい暮らし #新しい価値観で仕事をする人

PEOPLE

水たまりに氷が張った、2023年1月21日のTHE6。
『6LABO Vol.80 にまるらぐ×THE6タフティングワークショップ』に講師として、にまるらぐの愛称で知られる『タフティングベース にまる』の川村 寛克(かわむら ひろかつ)さんをお招きしました。

そもそもタフティングとは、ラグなどを作る織物技法のことで、コロナ禍において自宅でできるDIYとして海外で流行し、日本でも少しずつ認知が広がってきています。

THE6でのタフティングワークショップ開催は今回で3回目。仙台の他にも東京や茨城などを拠点としながら、勢力的に活動されていらっしゃいます。
そんな川村さんの現在の活動から、今後の展望までお話を伺いました。

タフティングベースにまる 川村さん
にまるらぐ 川村寛克さん

身近にあったタフティング


川村:普段はタフティングのワークショップをメインに、ラグや絨毯の販売をおこなっています。販売しているのは実家の『穂積繊維工業』の製品や、オーダーをいただいて制作したラグなどです。
出張ワークショップには特に力を入れていて、工房のある山形を拠点に、THE6のある仙台の他に北海道や東京、茨城、群馬などで開催してきました。

タフティングはラグを作る技法のひとつで、タフティングガンという道具でベースの布に毛糸を打ち込んで仕上げていきます。
新しい技法のように思えるかもしれませんが、実家ではもともとタフティングガンを使って絨毯を作っていたので、僕にとっては子どもの頃から当たり前にあったものなんです。

タフティングワークショップの様子
タフティングガンで毛糸を打ち込む様子

 敷物の良さを広げたい


川村: タフティングのワークショップを始めた理由はいくつかありますが、いちばん大きな理由は、『敷物の良さを広げたい』という思いでした。
私の実家は絨毯屋なんですが、全盛期に比べると、世の中の変化に影響を受けて、敷物が昔ほど身近な存在ではなくなっていると感じていました。

そこでもっとたくさんの人に、敷物の肌触りや使い心地の良さを知って欲しいと考えるようになったんです。
そんな良さを知ってもらうには、まず興味を持ってもらわないといけない。そのためには…と、いろいろ試行錯誤しました。

様々なアイディアの中からまず初めに形になったのが、ヨガマットと絨毯を掛け合わせた『ヨガタン』という商品です。敷くだけではなくて、使ってもらいたいという思いを込めたのですが、ありがたいことに「普通のヨガマットよりもあったかくて快適」と寒い地域の方から特に好評をいただいています。

『ヨガタン』に加えて、更にたくさんの人に敷物の魅力を知ってもらえるような「他の何か」を考えて、実際に体験してもらえるタフティングワークショップを始めることにしました。工房でお客様を待っているだけでなく、全国各地で出張開催することにしたんです。

最適なワークショップを


川村:にまるらぐのワークショップでは、35cm×35cmのラグを作成していただいています。毛糸を打ち込むタフティングガンは1.5kgの重さがあるので、その重さのものを持っていても作業を楽しめるように、ちょうどよい時間を探りました。
その結果、2時間ほどの内容がベストだと考え、その時間内で完成できるこのサイズに落ち着いたんです。

まず、お客様から作りたいデザイン画を事前にお送りいただいて、私はそのデザインを土台となる生地に下書きした状態でご用意します。当日はお客様がその線に沿って、好きな色の毛糸を打ち込んで仕上げていきます。
デザインに曲線が多いほど難易度が高くなるので、下書きしている段階で心配になることもあるんです。しかしそんな心配をよそに皆さん上手に仕上げていかれるので、驚きます。

打ち込みが終わった作品は一旦お預かりして、私が最終的に整えてから後日お客様へお送りしています。ここまでが、にまるらぐのワークショップの内容です。

タフティングワークショップの様子
THE6で行われたワークショップ

出張ワークショップの原動力


川村:タフティングはコロナ禍の巣ごもり時間の過ごし方として海外で流行し、日本でもテレビで取り上げられるようになってきましたが、当然その存在を知らない人はまだまだたくさんいます。
それに私自身が各地の土地勘を持っているわけでもないので、開催場所は人づてに紹介してもらっているんです。
THE6もTNERの入居者さんから教えてもらいました。

そのおかげで、ゼロから自分で探して施設に問い合わせて…という手順を踏むよりも、開催までのスピード感が格段に違います。地元に根差している施設が集客のお手伝いをしてくださることもあるので、心強いです。

ワークショップ中の様子

出張ワークショップは大きな道具をたくさん持参しないといけないので、開催場所には自分で運転して移動しています。山形から青森まで高速道路で移動した後、青森からフェリーで函館に入って、そこから更に帯広まで運転したこともありました。
長距離運転は大変なこともありますが、お客様から「東京でしかできないと思っていました」と言っていただいたりすると、移動の疲れなんて忘れてしまいますね。

ワークショップを開催していて、嬉しいことはいくつもあります。お客様からの「楽しかった!」という感想は、その最たるひとつです。
他にも「ラグができるまでの工程を知って、手作りラグを見る目が変わりました」と言っていただけると、ワークショップを始めた「敷物の良さを伝える」という目標に少し近づけたようでとても嬉しくなります。

にまるらぐこれからの展望-方言と文化-


川村:屋号になっている『にまる』という言葉、実は山形の方言を使っているんです。
山形では「①」を「まるいち」ではなくて「いちまる」と言います。県外の人から指摘されてはじめて気づくほど、「いちまる・にまる」は山形県民にとって当たり前の言葉です。

方言を話す人が少なくなってきて、その言葉の意味を知らないという人が増えてきているけど、「無くなりつつあるものを繋いでいきたい」という思いを込めて『にまる』を使いました。
「いちまる」じゃなくて「にまる」なのは私が次男だからです。(笑)

そして、方言と同じく絨毯も消えずに後世まで残っていって欲しい、という願いも込めました。
ありがたいことに、この説明をすると名前を覚えてくださる方も多いんですよ。

タフティングで作られた看板

全国をいろいろ訪れている内に、タフティングのできる民泊をやってみたいと考えるようになりました。

ワークショップのために宿泊施設を探して工房まで来てくれる方もいるので、そういう方たちの手間を少しでも省くことができたらいいなと思います。
さらに、各地のワークショップで繋がった方たちが、山形へ遊びに来るきっかけとなるような拠点を作りたいとも思ったんです。
民泊ではたっぷり時間をかけてタフティングを楽しんでもらったり、タフティングをしなくても気軽に遊びに来てもらったりして、山形の良さを知ってもらうきっかけのひとつになれたらいいですよね。

そのためにはもっと全国に出かけて行って、繋がりを広めていきたいと思います。

タフティングベースにまる 川村さん

育った土地を愛していて、その土地と文化へのリスペクト、そしてその継承を原動力にタフティングの魅力を全国へ広める、にまるらぐの川村さん。
これからの活動はSNSなどでもご確認いただけます。山形の工房や、ワークショップがあなたがお住まいの地域で開催される際には、ぜひタフティングを体験してみてはいかがでしょうか。

 

その他詳細

タフティングベース にまる

タフティングベース にまる

〒990-1101 山形県 西村山郡大江町 左沢5-1 御蔵1階

TEL  090-6687-1029

記事を書いた人

日沖亜也子

コーディネーター

ゼロから何かを作り上げることよりも、何かを作り上げる人やコトをサポートすることの方が得意。シェアオフィスでそんな特性を活かせたらと思いエコラに入社しました。日常生活では音楽が欠かせません。

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